2011年7月13日水曜日

ECRRとICRPの内部被ばくの認識の違い

食品からの被ばく、つまり内部被ばくについて認識が人によって大きく異なるのは、国際放射線防護委員会(ICRP)を基準とするのか、欧州放射線リスク委員会(ECRR)など厳しめの基準を採用する団体の基準を目安にするかによるのでしょう。

改めてECRRのICRPの違いについて、記事を載せます。

一般社団法人サイエンス・メディア・センターより(青字化筆者)

ECRRとICRPそれぞれの勧告について


放 射線の生体影響については、国際放射線防護委員会(ICRP)が防護基準を勧告しています。いっぽう、欧州放射線リスク委員会(ECRR)も、より保守的 な基準に改めるべき、という立場のもと、勧告を出しています。こうした科学と社会・政治の中間領域の議論に関し、コメントをお送りします。

山内知也(やまうち・ともや)教授

ECRR2010翻訳委員会, 神戸大学大学院海事科学研究科

ECRRとICRPの違いはどこにあるのか?

欧州放射線リスク委員会(ECRR)と国際放射線防護委員会(ICRP)との違いは、それぞれの最も新しい勧告であるECRR2010とICRP2007とを読み比べることで理解できるだろう。
いくつかの切り口はあると思うが、最も分かりやすいのがスウェーデン北部で取り組まれたチェルノブイル原発事故後の疫学調査に対する対応において 両者の違いが端的に現れている。その疫学調査はマーチン・トンデル氏によるもので、1988年から1996年までの期間に小さな地域コミュニティー毎のガ ン発症率をセシウムCs-137の汚染の測定レベルとの関係において調べたものであった。それは、同国だからこそ出来た調査でもある。結果は100 kBq/m^2の汚染当り11%増のガン発症率が検出されている。このレベルの土壌汚染がもたらす年間の被ばく線量は3.4 mSv程度であり、ICRPのいう0.05 /Svというガンのリスク係数では到底説明のつく結果ではなかった。ECRRはこの疫学調査が自らの被ばくモデルの正しさを支持する証拠だと主張している 一方で、ICRPではこの論文を検討した形跡が認められない。おそらく、結果に対して被ばく線量が低すぎるという理由で、チェルノブイル原発事故による放 射性降下物の影響ではあり得ないと考えていると思われる。結果に対して線量が低すぎるので被ばくの影響ではないという議論は、セラフィールド再処理工場周 辺の小児白血病の多発や、ベラルーシにおけるガン発生率の増加に対しても、劣化ウラン弾が退役軍人や周辺の住民にもたらしている影響に対しても行われてき ているものである。すなわち、ICRPの理論によれば低線量被ばく後にある疾患が発症すると、その原因は放射線によるものではないと結論される。その一方 で、ECRRの理論によれば新しい結果が出るたびにそれは自らの理論の正しさを示す証拠になる。
ECRRは、ICRPの内部被ばくの取扱において外部被ばくの結果に基づくリスク係数を使い、臓器単位のサイズで被ばく線量を平均化しているとこ ろを一貫して批判している。例えばベータ線を考えれば、それはその飛跡周辺の細胞にしか影響を与えないにも関わらず、線量はkgサイズの質量で平均化され てしまう。ガンマ線による外部被ばくのケースにおける光電効果と同じではないか、と思われる向きも多いだろうが、ECRRはそれぞれの放射性同位体核種と DNAや酵素との親和性を問題にしている。細胞内のクリティカルな部分に近いところで発射されるベータ線やアルファ線に独自の荷重係数を掛けている。それ によって疫学調査において出てくるICRPとの数百倍のリスクの違いを説明しようとする立場に立っている。ICRPの被ばくモデルはDNAの構造が理解さ れる前に生み出されたものであるため、そこでは分子レベルでの議論や細胞の応答について議論する余地はない。単位質量当たりに吸収されるエネルギーの計算 に終始するのみである。このやり方だとひとつの細胞に時間差で2つの飛跡が影響を与える効果を考慮に入れること、分子レベルでものを考えることが不可能に なる。
ICRPのよって立つところは0.05 /Svというリスク係数であり、それは疫学の結果である。その疫学とは広島と長崎に投下された原爆の影響調査であるが、ECRRはその調査が原爆投下から 5年以上経ってから開始されていること、研究集団と参照集団の双方が内部被ばくの影響を受けていること、それらの比較から導けるのは1回の急性の高線量の 外部被ばくの結果であるが、これを低い線量率の慢性的な内部被ばくに、すなわち異なる形態の被ばく影響の評価に利用することを批判している。
同じ非政府組織であってもECRRは「市民組織」であり、国連の科学委員会や国際原子力機関と連携しているICRPとは正確が異なる。ECRRの メンバーはチェルノブイリ原発事故の影響を旧ソビエト連邦圏の研究者らとともに明らかにしようとしているが、ICRPのメンバーは(例えば、 ICRP2007をまとめた当時の議長は)チェルノブイリ原発事故で被ばくによって死んだのは瓦礫の片付けに従事した30名の労働者だけであるとの発言が 記録され問題視されている。彼は子供の甲状腺がんについても認めようとしていなかったのだった。
冒頭に述べたスウェーデンの疫学調査は3 kB/m^2以下の汚染地帯が参照集団として選ばれ、最も高い汚染が120 kBq/m^2というレベルであった。これは今の福島県各地の汚染と同等であり、むしろ福島県の方が汚染のレベルは高い。ECRRの科学幹事が盛んに警告 を発している根拠のひとつがここにある。過去に同様の汚染地帯で過剰なガン死が統計的に検出されたという経験を人類が持っているからであって、このような 研究結果を知らない人にはその警告の真意や彼の気持は伝わりにくいのかも知れない。

津田敏秀(つだ・としひで)教授

岡山大学大学院 環境学研究科(疫学、環境疫学、臨床疫学等)
以前に出したコメントは「放射線による内部被ばくについて」と題しながら、内部被ばくについて十分な情報を提供する原稿とはなっていませんでした。実は、内部被ばくに関する人間のデータは、本当に不足しているようです。それは、以下に挙げるような理由によると思います。

(1) 内部被ばくがあったかどうか、どの程度あったかの、データが取りにくい

特に、α線による被ばくなどは、紙一枚で遮断することができますので、外部被ばくでは問題になりません。一方、内部に取り込まれて臓器まで達する とそこで大量のエネルギーが放出されます。しかし、これを体の外から測定することは困難です。α線、あるいはβ線も体により遮断されてしまうからです。体 外でのα線とγ線の比を用いて、体外にまで出てくるγ線の量から体内のα線を推測するようなことが必要になるようです。外部被ばくは、電離放射線作業労働 者など比較的管理された状況の場合が多く、一方、内部被ばくはそのような状況ではないことが比較的少ないということもあります。
ただ研究の際に、曝露による影響を推定するには、正確に曝露を測定する必要はなく、曝露の指標をうまく設定できれば推定可能です。人における発が ん影響は、歴史上そうやって推定されてきました。国際がん研究機関IARC(後の注記1を参考)は、人における発がん物質を分類するためにモノグラフを出 し続けていますが、放射線に関しては、γ線とX線、中性子線の発がん影響は、第75巻にまとめられています。また、α線、β線、その他内部被曝する様々な 核種の発がん影響は、第78巻に詳しくまとめられています。この第78巻のサマリーや分類の表は、発がん性の情報や増加するがんの種類、それが人から得ら れたのかそれとも人からはまだ得られていないのかについての情報に加えて、どの核種がα線やβ線を出すのかについての情報も与えてくれます。サマリーの表 (第78巻、481ページ)から日本語訳をしておりますので(表1)、参考にしてください。

(2)人口層が被ばくした内部被ばくの事例は、実は、そんなに多くない

放射線曝露に限らず、どのような曝露の人体影響に関する報告も、職業性曝露の報告が多くなる傾向があります。濃度の点でも人数の点でもまとまるか らです。そのような中で、曝露状況が似ているということにこだわった場合、福島原発事故の人体影響問題に情報が提供できる事例は、チェルノブイリの原発事 故後のがんの多発、あるいは後で述べるように、イギリスやフランスの再処理施設周辺や原発周辺での白血病の多発など、そんなに多くないのではないかと思っ ています。人が歴史上、どのような状況で放射線に曝露してきたのかの大まかな分類は、注記2を参照してください。モノグラフ第78巻の本文にはもっと詳し い曝露状況が記載されています。ここでは科学実験環境での被曝事故や個人の放射性物質の持ち出し等による事故などを除く、ある程度の規模の被ばくの事例で す。がんに関しては、いずれの事例でも問題になってきました。
このような状況から、定量的な放射線防護のための基準作りに熱心なICRPなどの国際機関が、結果的に広島・長崎の原爆事例や、原子力施設の労働 者の事例などに、大きく依拠した分析になってしまったこともある程度無理もないところかも知れません。これらの事例は、定量的な被ばくデータが比較的得や すい、大規模な事例なのです。しかしこれらの事例のデータは、内部被ばくというよりは、主に外部被ばくに即した状況のデータと言えます。驚くべきことに、 国際がん研究機関IARCでさえ広島・長崎の原爆事例に関しては内部被ばくの評価をしていません(注記2)。「広島・長崎の降下物は、直接曝露の放射線に 比べると(調査され)特徴づけられていないが、小さいものだったと考えられている(is considered to have been small)」と記載されているのみです。
さて、放射線による人体への影響に関しては関心が高く、事例の割には論文がたくさん出ているように思います。広島・長崎の被爆者の調査など、一つ の事例で繰り返し論文が出ていることもあります。そして、これを評価した委員会報告書もたくさん出ています。以下のものを一応挙げますが、これ以外に、フ ランスやドイツなどからも出ています。それぞれにホームページがあり、報告書の入手方法も分かります。このようにたくさんあることから、放射線による健康 影響に関する議論は、相当激しいことが想像できます。また、放射線被ばく下で働かねばならない人も多いことも推測できます。なお、下記の機関のうち IARCは、放射線だけでなく、すべての発がん物質の評価もしています。
  • ICRP (International Commission on Radiological Protection)「国際放射線防護委員会」
    www.icrp.org/
  • UNSCEAR (United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation) 「国連放射線影響科学委員会」
    www.unscear.org/
  • BEIR (Biological Effects of Ionizing Radiation) 「電離放射線の生物学的影響に関する米国科学アカデミー委員会」
    ※BEIR報告書は書籍にて入手可能。最新版は「BEIR VII」(2006)。
  • NCRP (National Council on Radiation Protection and Measurement) 「アメリカ放射線防護測定審議会」
    www.ncrponline.org/
  • NRPB (National Radiological Protection Board) 「国立放射線防護委員会(英国)」
    ※現在はHPA(Health Protection Agency)に統合 
  • ECRR (European Committee on Radiation Risk) 「放射線リスクに関する欧州委員会」
    www.euradcom.org/
  • IARC (International Agency for Research on Cancer) 「国際がん研究機関 (WHO)」
    www.iarc.fr/
  • RERF(Radiation Effects Research Foundation)「放射線影響研究所(日本・アメリカ)」
    www.rerf.jp
※SMC注:上記はSMCでリンクを追加・整理しています。記述は<略称(正式名称)「呼称日本語訳」>です。
ところで放射線リスクに関する欧州委員会ECRRは、イギリスやフランスの再処理施設周辺や原発周辺での白血病の多発などの事例を重視して、二相 性のモデルを提唱しています。そしてICRPの一相性のモデルは外部被ばくだけをモデル化しているので、内部被ばく、特に低線量の内部被ばくに関しては、 モデルと実際の観察データのズレが桁違いに大きくなるとECRRは批判しています。つまりICRPは内部被ばくを含む慢性的な放射線被ばくの人体影響を過 小評価しているというのです。二相性の一方は外部被ばくで、もう一方は内部被ばくというわけです。下記を参照してください。ちなみに、イギリスの再処理施 設周辺や原発周辺での白血病の多発は、私が放射線による人体影響を勉強し始めるきっかけになった事件で、イギリスが国を挙げて調査をし、実際に多発があっ たことになっています。
ECRRを評価するには、ECRRが出るきっかけとなった欧州の白血病などのがんに関する報告をレビューしたり、その他の評価をしたりなどが必要 と思います。これは時間がかかります。ただ、IARCのモデルでは把握できない白血病などの多発が各地で生じていることは確かなようです。一方、内部被ば くの測定が簡単ではない(例えば、α核種の測定などは外部から困難なのに、エネルギーは一番高い)ことなどを考えると、実はICRPのモデルに合っている のに、その被ばく量を把握し切れていないという考え方もあるように思います。
 以上の議論とは別に、現在の日本の状況は、ICRPの勧告もどれだけ守れているのか定かではない状況だと思います。そして少なくともこれは守った 方が良さそうだということは、合意ができていると思います。ECRRの2010年勧告と2003年のECRRの日本語での紹介(スライドでのサマリーです が)は、下記から入手してください。


また、2003年の日本語の情報に関しましては、山内知也先生がスライド原稿で紹介してくださっています。

注記1:

国際がん研究機関IARCにより過去に出たモノグラフの多くは、IARCのホームページ(http://www.iarc.fr/)から入っていけば、インターネットを通して、無料で閲覧や入手が可能となっています。  
http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/PDFs/index.php
ホームページのURLの最初の区切りの直前がfrとなっているのは、IARCの本部がフランスのリヨンに置かれていることからきています。
電離放射線のうちγ線とX線、中性子線の発がん影響は第75巻に、
http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol75/index.php
α線、β線、その他、内部被曝する様々な核種の発がん影響は第78巻に、
http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol78/index.php
まとめられています。それぞれ、2000年、2001年までの全ての発がん影響に関する論文が紹介されていると考えられます。これらモノグラフは、 どこから放射線は来るのか、人間でどんながんが観察されたのかについても詳細に分類されています。ちなみに現時点でGroup 1、Group 2A、Group 2B、Group 3、Group 4に分類されている物質のリストは、下記のURLで見ることができます。
http://monographs.iarc.fr/ENG/Classification/index.php
同じページでは、物質名のアルファベット順でも検索できるのが便利です。Group 1、Group 2A、Group 2B、Group 3、Group 4の分類の意味は、以下の通りです。最新のモノグラフ(第97巻)の前書きPreambleから転記して私の和訳を付け加えました。
  • Group 1:The agent is carcinogenic to humans.
    (その物質は人の発がん物質である)
  • Group 2A:The agent is probably carcinogenic to humans.
    (その物質はたぶん、人の発がん物質である)
  • Group 2B:The agent is possibly carcinogenic to humans.
    (その物質はおそらく、人の発がん物質である)
  • Group 3:The agent is not classifiable as to its carcinogenicity to humans.
    (その物質は、人の発がん物質としては分類できない)
  • Group 4:The agent is probably not carcinogenic to humans.
    (その物質はおそらく、人の発がん物質ではない)
注:IARCは、2Aのprobableと2Bのpossibleには定量的な意味はないと述べています。ただprobableの方がpossibleより大きいという相互関係は認めています。

注記2

表2.  曝露人口の例を付けた外部被ばくと内部被ばく源
こちらのExcelファイルを参照してください。

18年前につぶされた全電源喪失検討案・安全委

 東京新聞のスクープのようです(青字化筆者)

18年前、全電源喪失検討 安全委 幻の報告書

2011年7月13日 07時04分


 福島第一原発事故の要因になった長時間の全交流電源喪失(SBO)について、原子力安全委員会のワーキンググループ(WG)が一九九三年、炉心損 傷を招く可能性があると認めながら、「考慮する必要はない」とした国の安全設計審査指針を追認する報告書を出していたことが分かった。安全委は報告書を公 表せず、その後の安全対策にも生かしていなかった。
 安全委の班目(まだらめ)春樹委員長は「『SBOを考えなくてよい』と書いたのは最悪」と認めた上で「前から安全規制改革をやっていれば事故は防げた」と述べ、経緯を検証する方針を明らかにした。
WGは原子力施設事故・故障分析評価検討会に設けられ、五人の専門委員と四人の外部協力者が参加。九一年十月から九三年六月にかけて非公開で十二回の会議を重ね、国内外のSBOの規制上の扱いや発生例などを調査・検討した。
本紙が入手した報告書では「短時間で交流電源が復旧できずSBOが長時間に及ぶ場合には(略)炉心の損傷等の重大な結果に至る可能性が生じる」と指摘。福島第一原発と同様の事故が起きる恐れに言及していた。
さらに、米原子力規制委員会(NRC)が連邦規則で法的にSBO対策を求めたり、フランスでも危険を減らすため設計上考慮するよう国が求めたりするなど、一部の国で安全対策が講じられていることも指摘した。
ところが、日本では(1)SBOの例がない(2)全原発に二系統以上の非常用電源がある(3)非常用ディーゼル発電機の起動の失敗率が低い-などとして 「SBOの発生確率は小さい」「短時間で外部電源等の復旧が期待できるので原子炉が重大な状態に至る可能性は低い」と結論づけていた。
米国などでは洪水やハリケーンなどを考慮して安全かどうか検討していたが、WGは自然災害を検討対象から除外して、長時間のSBOを考慮する必要がないとした安全指針を追認。報告書を公表することもなく「お蔵入り」させていた。
第一原発は今回、地震により外部電源を喪失。さらに津波で非常用ディーゼル発電機が水没するなどして、全交流電源を失い、相次ぐ炉心溶融や水素爆発につながった。
政府は六月に国際原子力機関(IAEA)に出した報告書で、津波などSBOの原因となる自然災害への考慮が不足していたことを認めている。
(東京新聞)

2011年7月12日火曜日

汚染牛肉の行方

7/19情報追加


読売オンラインより(7/18)
セシウム汚染牛出荷、648頭に…新潟・山形も 放射性セシウムに汚染された稲わらが肉牛に与えられていた問題で、福島県は18日、新たに県内7戸の畜産農家で汚染された疑いのある稲わらが与えられ、計411頭が出荷されたと発表した。
新潟、山形県も、放射性セシウムに汚染された宮城県産の稲わらを使用した畜産農家があり、それぞれ24頭と70頭を出荷していたと発表。福島県で判明していた143頭と合わせ、汚染された稲わらを食べた疑いのある牛の出荷は3県で計648頭となった。
出荷された牛への汚染された稲わら投与が福島県産以外で発覚したのは初めて。新潟県の24頭は4~6月、同県内と東京都の食肉処理場に出荷されていた。
福島県産の411頭は3月28日~今月6日、福島、埼玉、栃木、群馬、兵庫県と東京都の食肉処理場に出荷。出荷したのは二本松市、本宮市、須賀川 市、白河市、会津坂下町の各1戸と郡山市2戸の計7戸の畜産農家で、本宮市の1戸が与えた稲わらからは一連の問題の中で最高値となる1キロ・グラムあたり 69万ベクレルの放射性セシウムを検出。水分を含んだ状態に換算すると、暫定規制値(300ベクレル)の523倍に相当する。福島県は、18日までの予定 だった県内全農家に対する肉用牛の出荷自粛要請期間を延長した。

(2011年7月18日22時04分  読売新聞)

リンク先に地図があるのでそちらも見てください。汚染された稲むらを食べた牛の分布がわかります。さらにSave Childさんがこの分布図と群馬大学早川由紀夫教授の東日本放射能汚染地図を重ね合わせた地図を作っています。見ておく価値があります。

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下記の報道発表を見ると、7/13時点までのセシウム汚染牛肉の流通調査状況がわかります。
7月13日東京都福祉保健局
福島県産の牛肉の放射性物質の検査結果について(第4報)

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/07/20l7d200.htm

市場に流通した6頭分の流通状況調査結果
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/07/20l7d201.htm

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毎日jpより(青字化筆者)

放射性セシウム:汚染和牛…5都府県に出荷、一部流通

2011年7月11日 22時41分
 福島県南相馬市の畜産農家が出荷した黒毛和牛11頭から暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、同 じ畜産農家から出荷された別の6頭分の牛肉が東京、神奈川、静岡、大阪、愛媛の5都府県の食肉販売業者や卸売業者に販売され、一部が既に流通していたこと が、厚生労働省などの調査で分かった。関係機関は流通ルートの全容解明を急いでいる。
静岡市保健所は11日、同市清水区の食肉加工業者が計27・8キロの肉を仕入れ、残っていた肉から1キロ当たり1998ベクレルの放射性セシウムが検出されたことを明らかにした。

仕入れたのは肩ロース肉で、6月11日に14・5キロを静岡県牧之原市の食肉販売業者に、13日に13・3キロを静岡市葵区の飲食店に卸売りした。牧之原市の業者は既にすべて販売、葵区の飲食店は300グラムを客に出していた。
 また、大阪府も11日、この農家の牛2頭分の食肉が、府内を中心に流通していたと発表した。うち数キロ分が、贈答用として消費された可能性があるという。府は今後、食肉を回収し放射線量を測定する予定。

 ◇福島県、出荷牛検査へ

福島県は11日、この農家が使っていた餌の稲わらから1キロ当たり7万5000ベクレルという高濃度の放射性セシウムを検出したと発表した。農家 は福島第1原発事故後に屋外にあった稲わらを与えたことを認めており、県は汚染源と断定。計画的避難、緊急時避難準備の両区域内にある農家約260戸から 出荷される肉牛の全頭検査を実施することを決めた県は餌の管理状況をチェックするため、11日から両区域の立ち入り調査に着手。両区域外についても今 後、立ち入り調査を実施するとともに、1農家当たり少なくとも1頭のサンプル検査を行う方針だ。
県の調査によると、井戸水や配合飼料には問題はなかったが、稲わらからは飼料の暫定許容値(1キロ当たり300ベクレル)を大幅に超える7万5000ベクレルの放射性セシウムが検出され、水分量を補正して計算した場合でも1万7045ベクレルに達した。
稲わらは原発事故前に刈り取り、事故後も4月上旬まで水田に野ざらしで置かれていた。和牛を出荷した農家は緊急時避難準備区域内にあり、1頭当た り1日約1・5キロを食べさせていたという。県の調査に対し「震災後に配合飼料が手に入らなくなり、食べさせてしまった」と説明したという。【種市房子、 野倉恵、小玉沙織】

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読売オンラインより(青字化筆者)

セシウム、牛11頭すべて規制超…南相馬の農家

福島第一原子力発電所から20~30キロ圏の緊急時避難準備区域にある福島県南相馬市の農家が出荷した肉用牛11頭の1頭から、暫定規制値(1キ ロ当たり500ベクレル)の4・6倍の放射性セシウムが検出された問題で、東京都は9日、残り10頭の肉からも、暫定規制値の6・4~3倍にあたる同セシ ウムが検出されたと発表した。
いずれも流通していない。一方、福島県の調査では、4月下旬以後、同区域からは2924頭の肉用牛が出荷されたことが 判明。県はすでに同市に肉用牛の出荷自粛を要請したが、さらに同区域全域で飼育されている肉用牛について畜産農家に出荷自粛要請を行うかどうか、検討に 入った。
同県などによると、南相馬市や田村市の一部が入る同区域では、原発事故前、精肉になる肉用牛約5700頭が飼育されていた。農林水産省は4月下 旬、この区域から出荷される肉用牛全頭を対象に、県が体の表面を検査などすれば出荷を認めると指導。事故後に見合わせていた出荷が再開されていた。
(2011年7月9日13時12分  読売新聞)
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また、5月の時点で「福島県の計画的避難区域内の家畜牛について、全国24都道府県が受け入れの意向を示している」との報道

がありました。もらわれていった牛たちが各地で肉として売られる際、きちんと放射能検査を実施されているのでしょうか。

2011年7月6日水曜日

ラジオ:玄海原発1号機の圧力容器の脆さについて 小出裕章 (京大原子炉実験所助教)

先日、当ブログで取り上げた玄海1号機の危険性に小出先生がわかりやすく解説していたので、
紹介します。


7月4日 MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」
玄海原発の圧力容器の脆さについて 小出裕章
(京大原子炉実験所助教)


こちらに書き起こしあります→http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/07/05/tanemaki-jul-4/


上記より転載:

小出:90何度という温度でもうガラスのようになってしまう。もちろんそれよりも低い温度ならガラスのようになるということで、普通原子炉が動いているときは 200何十度という温度ですからいいのですけれども、もし何かトラブルがあって原子炉を冷やそうとして冷たい水を入れようとするわけですね。冷やそうとするとね外から冷たい水を入れる。今も福島でやっている。そういう事をすると圧力容器と言ってる鋼鉄製の容器自身がガラスのような状態になっているところ に、水を入れてしまうということで、壊れてしまうということになる。

2011年7月5日火曜日

玄海原発1号機の安全性・2,3号機再稼動への懸念

2,3号機の再稼動が検討されている佐賀の玄海原発ですが、1号機の安全性に疑問が投げかけられています。九州電力は安全性を保障するためにデータを公開すべきだと思います。

原発を動かす会社として、安全性をまともに考え、徹底する姿勢は義務だと思います。


佐賀新聞ひびのニュースより(青字化筆者)
玄海原発1号機 想定以上に劣化進行か
運転開始から36年が過ぎた九州電力玄海原子力発電所(佐賀県東松浦郡玄海町)1号機の原子炉圧力容器の劣化を判断する指標となる「脆性(ぜいせい)遷 移温度」が大幅に上昇、大学の研究者らは異常として問題視し、最悪のケースとして容器破損の可能性にも言及している。九電や国は「安全性に問題ない」と反論。研究者は検証のためのデータ開示を求めるが、九電は「業界規程に基づいて適正に検査しており、検証しても結果は同じ。40年目の高経年化評価時にデー タを公表する」としている。

鋼鉄製の原子炉圧力容器は中性子を浴びるともろくなる。電力各社は老朽化を把握するため容器内に同じ材質の試験片を置いて取り出し、緊急冷却した場合などに容器が壊れやすくなる温度の境目となる脆性遷移温度を測っている。劣化が進むほど温度は高くなる。

九電によると、運転開始時の1975年の脆性遷移温度は零下16度。これまで4回取り出した試験片の温度は、35度(76年)、37度(80年)、56度(93年)と推移し、2009年は98度に大幅上昇した。

九電は「試験片は圧力容器よりも多く中性子を浴びる場所に置き、数十年後の圧力容器の劣化状況を予測するためのもの。98度は2060年ごろの数値に当 たる」と説明。「圧力容器の現在の脆性遷移温度の推定は80度で、60年間運転した場合でも91度」とし、日本電気協会が定める新設原子炉の業界基準93 度を下回っていることを強調する。26日の県民説明会でこの問題を質問された経産省原子力安全・保安院も同様の説明をして「容器が壊れるような状況にはな い」と答えた。

ただ、こうした見解に研究者は疑問を示す。九州大応用力学研究所の渡邉英雄准教授(照射材料工学)は「上昇値は本来の予測値から大きくずれ、誤差の範囲 を超えている。原子レベルで想定外の異常が生じている可能性がある」と指摘。井野博満東大名誉教授(金属材料学)は中性子の影響を受けやすい不純物が含まれるなど材質が均一でない可能性を指摘したうえで、「緊急冷却で急激に温度を下げた場合、圧力容器が壊れる可能性がある」とする。

研究者は試験片や検査データが開示されていないため詳しい検証ができないとし、電力各社に情報開示を求める意見も強いが、九電は「今後も安全な数値で推移すると判断しているので、すぐにデータを提示する必要はない」としている。

【関連記事】

「【解説】玄海1号機の劣化問題 危険性の指標上昇」
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1968466.article.html
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九州電力「原子力発電」に関する問い合わせフォームはこちら↓

https://www1.kyuden.co.jp/php/inquires/index.php/form/input/104


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また、玄海原発について佐賀県が説明会を開きます。


7/8佐賀県主催「しっかり聞きたい、玄海原発」

対象:佐賀県の住民 受付:7/5の17時00分まで

申し込みはこちらから→ http://bit.ly/kUmLiX

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玄海原発は佐賀県だけの問題はありません。何かあれば日本全体が影響を受けます。また、止まってた原発が一つ再稼動すると、他の原発の再稼動にも影響すると思います。これ以上、稼動原発を増やしたくないと考える人にとっては、今が正念場かもしれません。

佐賀県以外の方も下記の連絡先にメッセージを送れます。

佐賀県ホームページ
佐賀県 県政へのご意見入力フォーム
→ https://www.pref.saga.lg.jp/web/kensei_goiken.html
佐賀県 こちら知事室です → http://www.saga-chiji.jp/teian/

原子力安全・保安院
原子力安全・保安院への問い合わせフォーム→https://wwws.meti.go.jp/nisa/index.html

署名:放射性物質入りの肥料の流通に反対

http://www.shomei.tv/project-1785.htmlより

【農林水産省が決定した、放射性物質が検出された汚泥を全国に肥料として流通させる新基準に反対する署名】

農林水産省が6月24日に設置した、放射性物質を含む下水やし尿などの汚泥を肥料の原料として利用する場合、放射性セシウム濃度は1キロ当たり200ベクレル以下とする基準に対して反対するものです。食料という人間にとって一番大切なものを作るための農作地に、 処理に困った放射性物質を含む汚泥をバラまく事がどれだけ危険な事なのか、政府が理解した上でこの安全基準を設置したとはとても思えません。日本という国 に住みながら、政府が行う事に対して信用できない、というのはとても哀しい事ですが、自分の身、そして子ども達の将来を守るためには、小さい事かもしれま せんがこういう署名活動で『反対』という民意を示したいと思います。

署名はこちらで

2011年7月3日日曜日

めざせ10万枚!  「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト

京都の脱原発グループが京都の祇園祭(7月15日、16日、17日)、神戸みなとまつり(7/17-18)、大阪の天神祭(7月24日、25日)で脱原発団扇(うちわ)を配るプロジェクトを立ち上げたようです。

ボランティアや賛同者(カンパ)を募集しているようですよ。また、関西以外のお祭りでも、ぜひ団扇プロジェクトを起こしませんかとの呼びかけもしています。


以下、
http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/より転載:


めざせ10万枚! 
「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト


http://d.hatena.ne.jp/uchiwa10/

6万人以上の参加者を集めた6・11脱原発デモ。
その直後に行われた世論調査によれば、原発の段階的廃止に74%の人々が賛成
けれども電力需要のピークを迎える夏場、電力会社や政財界が「電力不足」の不安をあおり、停止中の原発の再稼働を求めるのは確実です。

脱原発への世論づくりは、この夏が正念場なのです。

そこで、こんなプロジェクトを立ち上げました。
7月から8月にかけて各地で催される夏祭りや花火大会で脱原発のメッセージを込めた団扇(うちわ)を配る
各方面でご活躍中のデザイナーさんのご協力を得て、デザインは5種類をご用意しました。

手始めに祇園祭(7/15-17)で最初の「風」を起こします。
続けて、神戸みなとまつり(7/17-18)や大阪の天神祭(7/24-25)でも。

この夏、あなたも涼しい浴衣姿でおシャレな《脱原発うちわ》を沿道で配ってみませんか?


(1)カンパのお願い
団扇の製作費は1枚約10円。目標の5万枚では約50万円かかります。趣旨にご賛同いただける方は、どうぞカンパにご協力ください。

・カンパは一口1000円からとさせていただきます
・10口以上いただける場合、ご希望に応じて裏面に団体・個人名等を掲載いたします。
・5口(5千円)以上カンパをしてくださった方には、5口につき脱原発うちわ各種5枚を差し上げます。

カンパの振込先:京都中央信用金庫 御池支店(普通)0705888
うちわで脱原発プロジェクト


(2)プロジェクトの全国展開に向けた協力者募集
地元で同様の企画をなさりたい方は、お気軽にご相談ください。デザイン修正や印刷の発注代行等、いつでも承ります。

連絡先:「団扇(うちわ)で脱原発」プロジェクト代表(赤尾)
Mail: e.pithecanthropus @ gmail.com
[@の前後をツメてください]
Tel: 070-5600-3611
Twitter: @royterek

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