2012年10月16日火曜日

外国人ジャーナリストが驚いた日本メディアの惨状

日経ビジネスのデジタル版に載っていたものの、消されてしまったという記事です。

ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏へのインタヴュー
1966年生まれ。イリノイ大学でジャーナリズム修士。ブルームバーグ、AP通信をへてニューヨーク・タイムズ東京支局。2009年2月から現職。同支局スタッフは、東日本大震災に関する報道で、ピュリッツァー賞国際報道部門の次点となった。

外国人ジャーナリストが驚いた日本メディアの惨状

大野 和基=ジャーナリスト
 ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏に話を聞いた。大メディアに対する同氏の批評は辛らつだ。「取材源との距離が近すぎ、監視役としての役目を果たしていない」「ダブルスタンダードで自国の暗い面は報道しない」と指摘する。
――日本社会は非常に排他的で、属さない人を排除する――と言われてきました。記者クラブもそういう排他的な文化の一つの面だと思います。どう思われますか。
ファクラー:日本のメディアを見ていて非常に興味深く思うのは、情報を 独占的にコントロールしようとする記者クラブがある一方で、週刊誌とかタブロイド紙が非常に元気なことです。記者クラブは日本のメディアの保守的な面を表 していると思います。週刊誌やフリーランス記者、地方紙はかなり良い仕事をしています。
――朝日新聞や日本経済新聞といった日本の大手新聞とニューヨーク・タイムズの最も大きな違いの一つは、世 界中の読者に対する影響力です。世界中の人がニューヨーク・タイムズを読みますが、日本の新聞は読みません。取材先が図る便宜も異なります。例えばあなた はトモダチ作戦の時、米軍のヘリに乗る機会を最初に与えられました。
ファクラー:最初にそういう機会が与えられたのは、もちろん、私が ニューヨーク・タイムズの記者だったからです。タイム誌の記者も同乗しました。同誌も世界的に影響力を持っています。確かにニューヨーク・タイムズという 名前は役に立ちます。米軍はアメリカの納税者に対して、こうしたお金を使うことを正当化しなければなりませんから。
――もしあなたがニューヨーク・タイムズにいなかったら、そういう機会は来なかったでしょうね。

ファクラー:そう思います。世界的に影響力を持つメディアにいるアドバ ンテージです。私はこれまでブルームバーグ、AP、ウォールストリート・ジャーナル、ファーイースタン・エコノミック・レビューで仕事をしてきました。こ の中でニューヨーク・タイムズは取材先に対する最高のアクセスを与えてくれます。
 もちろんリスクもあります。トモダチ作戦の取材の場合、米軍の代弁者にはなりたくありませんでした。ただし、取材先と距離を置くことはジャーナリストに とって危険でもあります。情報を得られなくなる可能性と背中合わせですから。これはアメリカでも日本でも同じです。常に直面するチャレンジの一つです。
 ニューヨーク・タイムズのように名声が確立したメディアは、落とし穴や誘惑に常に注意しなければなりません。つまり、情報源との関係を維持するために批判を鈍らせるとか、トーンダウンするとか、その誘惑に負けてはいけません。

日本メディアは監視役たり得ていない

――日本のメディアはウォッチドッグ(監視役)としての機能を果たしていると思いますか。
ファクラー:彼らはそういう機能を果たすべきだという理想を持っていると思いますが、情報源とこれほど近い関係になると実行するのはかなり難しいです。
 これは記者クラブだけの問題ではありません。もっと大きな問題です。日本の大メディアは、エリートが支配している階級の中に入っているということです。 東大、慶応、早稲田出身でみんなが同じバックグラウンドと価値観を持っている。みんな官僚に同情的で、彼らの側に立ってしまうのです。

3.11の時、この面をはっきり見たと思います。本当に監視役になっていたのなら、「フクシマは大丈夫だ」「メルトダウンはない」という記事は書かな かったのではないでしょうか。もっと厳しい記事が書けたと思います。それができなかったのは、彼らが政府と距離を保っていないからです。
 大メディアは、政府と対峙することなく、国民に対峙する報道をした。私はこの点を痛烈に批判しました。大メディアが報道していたことが間違いだとわかっ たのは、何カ月も経ってからです。監視役としてみるなら、日本の大メディアは落第だったと思います。でも、メディアを監視役ではなく、システムの一部とし てみるなら、起こるべくして起こったことだと言えるでしょう。
――日本経済新聞に対しても批判的ですね。
ファクラー:オリンパス事件のときによくわかりました。海外メディアでは、フィナンシャル・タイムズがスクープし、ニューヨーク・タイムズとウォールストリート・ジャーナルがそれに続きました。その間、日本経済新聞は何も報道しませんでした。沈黙です。
 その後、マイケル・ウッドフォード元CEOの記事が小さく出ました。ウッドフォード氏は日本の組織文化を理解することができなかったというような記事で した。まったくクレージーです。ビジネス・ジャーナリズムとして、3.11報道と同じくらいの大きな失敗でした。チャレンジする精神がまったくありません でした。
――3.11以降、大メディアに対して国民も不信感を持ち始めました。
ファクラー:今、我々は非常に興味深い時期にいます。読者は今まで、メ ディアの言うことをほとんど信じていました。しかし、放射性物質の問題、SPEEDIデータの隠蔽、食料安全の問題について、国民はメディアに対して不信 感を覚えたのです。国民と大メディアの間に溝が生じ始めたのです。「大メディアは国民の側に立っていない」という意識が国民の間に広がったと思います。 3.11が変化の始まりでした。これほど強い不信感をみたのは初めてです。

日本の大メディアはダブルスタンダード

――人種差別に対する日本メディアのスタンスについてうかがいます。2010年にオーバーステイで逮捕され たガーナ人男性が、飛行機で強制送還しようとしたところ暴れたので、入国管理局の職員が集団で、手錠を使って縛り上げ無理やり飛行機に乗せました。その 後、このガーナ人男性が機内で死亡した。この事件について、日本の大メディアが人種差別として報道しなかったことを指摘されています。
 また東電のOLが1997年に殺された事件がありました。犯人とされたネパール人はやっと最近釈放され、ネパールに強制送還されました。これも人種差別でしょうか?
ファクラー:どの社会も偏見を持っています。日本だけに限ったことではありません。問題はメディアです。メディアがそういう観点から報道しないのです。国民の意識を変えようとする努力がまったく見られません。こういう人種的偏見をなくすには、国民の意識を変えることが重要です。
 日本のメディアはダブルスタンダードに陥っています。人種偏見に基づく事件が、海外で起きた場合は報じるのに、自国で起きた場合は報じません。海外で起 きた出来事にも、日本国内で起きた事件にも、同じ尺度を当てはめるべきです。日本のメディアは、ひょっとしたら、みずからがダブルスタンダードであること を意識していないのかもしれません。本来は日本社会の暗い面も報道するべきですが、それを隠す傾向にあります。
 もっと自分の足で取材して、調査報道をやってほしいと思います。貧困問題も同じです。日本の貧困問題は深刻です。こういう面をきちんと報道しないのはジャーナリズムの機能不全です。
――日本のメディアについて、特に変わってほしいと思うのはどの面ですか。
ファクラー:メディアのスタンスですね。大メディアは、本当の意味で監 視役の役割を果たすべき時が来ています。日本にいる人は、もっと正確な情報を知る必要があります。今メディアがやっていることは明治時代から変わっていま せん。日本社会全体にチャレンジするような、代替メディアも生まれていません。能力はあるのに、とても残念なことです。
 3.11以降、非常に良い仕事をした日本のメディアもあると思います。「東京新聞」です。政府と距離を置いて批判的な記事を書いていました。地方新聞で は「河北新報」です。同紙は政府や東電側ではなく被災者の立場から報道しました。震災記録300日にわたるその記録は『悲から生をつむぐ』という本にまと められています。地方新聞でもネットを使えばグローバルなメディアになります。「地方」というのは関係なくなってきます。

良いジャーナリストの条件とは

――ジャーナリストの心構えについて、“a good journalist needs a sense of moral outrage”(良いジャーナリストには正義感――悪に対する人間的な怒り――が必要)と主張されています。これが最も重要な要素でしょうか。
ファクラー:個人的なレベルではそう思います。ジャーナリストは社会のためにやる仕事です。銀行家になってお金儲けするのとは違います。社会を良くしたいからする仕事です。ジャーナリストは少し理想主義者であると同時に、シニカルである必要があります。
――そして、取材対象と適切な距離を保つことですね。
ファクラー:これは本当に重要なことです。9.11のあとアメリカで は、メディアが愛国主義的になり、ブッシュ政権を批判しなくなりました。その結果、イラク戦争に関わる政策ついて十分な批判ができませんでした。イラク戦 争をとめることができず、戦争の動機についても十分疑問を呈することができませんでした。
――それでもジャーナリストは、人脈を作り続けないといけません。
ファクラー:理想的に言えば、尊敬されることが大事です。良い情報を得 るために、自分を売らなければならないのであれば、そのような情報源の存在は忘れた方がいいです。日本はジャーナリズムの倫理を少し変えた方がいいと思い ます。その方が尊敬されるようになる。長い目でみれば、フレンドリーな関係を作ることよりも、尊敬されるようになることが重要です。

2012年10月14日日曜日

北海道の室蘭沖より100ベクレルのマダラ

ついに北海道の魚からも3ケタのセシウムが検出されてしまった。それにしても、100ベクレルぴったりだから、出荷自粛要請はしないというのはどうなんだろうか。。。これから週1回(可能ならもっとやるべき)検査するというのはよいことにしても。

北海道新聞より

室蘭沖マダラから100ベクレル 放射性セシウム 道、検査強化へ

(10/13 06:40)
道は12日、室蘭・追直(おいなおし)漁港で水揚げされたマダラから、国の基準値(1キログラム当たり100ベクレ ル)と同じ100ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。100ベクレルを超えると、道は出荷自粛を要請することになっているが、今回は超えてい ないため、自粛要請はしない。道は同日、室蘭沖で週1回行う検査を当面毎日実施することを決めた。セシウムで3桁の数値が出るのは道産水産物では初めて。 <北海道新聞10月13日朝刊掲載>

2012年10月7日日曜日

中野区の土壌 セシウム1万Bq/kg以上

以下、
放射能から子どもを守る会・中野 のブログより転載:

新宿代々木市民測定所へ見学に行って来ました

測定した土壌は雨水マスから採取された高濃度に汚染された土壌です。測定開始からセシウム137/134ともに勢い良く検出されていきました。
結果はセシウム137が6560Bq/kg、セシウム134が5000Bq/kg。合算で1万1560Bq/kgでした。参考までに表面の線量は SOEKSで0.38μSv/h、ALOKAで0.41μSv/hでした。中野区内でも雨水が集まってくる場所ではこの程度の汚染は検出されます。

(青字化筆者)